大臣/新年のはじまりに当たって

国土交通大臣 太田昭宏
施策の前進を「実感」する年に

平成26年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。

第二次安倍内閣は2年目に入りました。この内閣では、「被災地の復興の加速」「景気・経済の再生」「防災・減災をはじめとする危機管理」を三本柱としています。そのいずれについても、社会資本や交通体系の整備、国民の安全・安心の確保などを使命としている国土交通省は大きな役割を担っています。本年4月に消費税率の引上げが実施されますが、それに伴う反動減を抑制しながら、成長力を底上げしていかなければなりません。本年も国民の皆様に前進を「実感」していただけるよう、引き続き総力を挙げて対策を充実してまいります。

なかでも社会資本整備については、新しい角度からの取組を昨年始めたところです。我が国は災害が頻発する脆弱(ぜいじゃく)国土であり、切迫する首都直下地震や南海トラフ巨大地震など大規模災害に絶えず備えていく必要があります。また、高度成長期以降に整備したインフラの老朽化に対して、戦略的に対策を進めていくことも必要です。このため、国民の命を守る公共事業として、防災・減災、老朽化対策、メンテナンス、耐震化を日本の政策のメインストリームとして位置付け、国土交通省の総力を挙げて取り組んでまいりました。また、大都市の国際競争力強化や地域の活性化など、我が国の成長に寄与する社会資本の整備も着実に進めていく必要があります。

さらに、我が国の国土を取り巻く状況を見ると、本格的な人口減少、高齢化の進展、切迫する巨大災害、国際的な都市間競争の激化や物流構造の変化によるグローバリゼーションの進展など、極めて大きな変化に直面しています。このため、2050年頃までの長期の視野に立って、日本の国土や都市・地域のあり方をどうすべきか、経済や暮らしをどのように成長・発展させていくかといった観点から、新たな「国土のグランドデザイン」を策定します。地域においては、諸機能が集約したコンパクトな拠点とこれを結ぶネットワークを高度に進化させることにより、人口減少社会においても地域の活力を維持し、安全・安心な社会を構築していくことを目指します。

また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会への対応もしっかり進めていく必要があります。大会は、力強い日本の姿を世界に発信する絶好の機会であり、国土交通省としても大会の成功に向けて対応を進めてまいります。その際、2020年がゴールということではなく、2040年、2050年の国土づくりを見据えた上で、その助走期間として捉えていくべきだと考えます。例えば、国内各地を訪問する外国人がスムーズに移動できるような多言語対応、高齢社会に対応したバリアフリー化などあらゆる人に優しいまちづくり、大きな災害が発生した場合にも万全の対応ができる防災まちづくりなど、目標を明確にして着実に進めていくことが大事です。

このような総合的かつ長期的なビジョンを基本とした上で、施策の前進を「実感」していただけるよう、以下のような各般の施策を展開してまいりますので、本年も皆様のますますのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

東日本大震災からの復興の加速については、被災地の方々に復興を早期に実感していただけるよう、総力を挙げて取り組みます。基幹インフラの復旧は順調に進んでおり、引き続き事業を着実に実行してまいります。一方、住宅再建・まちづくりについては更なる加速化が必要であるため、住まいの復興工程表と加速化措置を着実に実施していきます。具体的には、労務単価の柔軟な見直し、人材・資材の確保、用地取得の短縮化などの措置を引き続き講じてまいります。

我が国は、集中豪雨、台風、地震など自然災害が頻発し、さらに首都直下地震や南海トラフ巨大地震が切迫しています。このため、事前の備えとしての防災・減災対策に万全を期すべく、ハード・ソフトが一体となった総合的な対策に全力を挙げて取り組みます。

具体的には、公共施設や老朽建築物の耐震化、密集市街地の改善、緊急輸送道路の再構築・強化、TEC-FORCEの応急対応能力の強化などを重点的に行ってまいります。水害リスクや複合災害リスクの増大等を踏まえ、大規模水害対策やゲリラ豪雨への対応、大規模土砂災害対策、地下街の浸水対策などを推進します。また、防災気象情報の改善や気象、地震等の監視・予測システムの強化を図るほか、海上保安庁の人命救助や緊急輸送能力の増強等に取り組みます。

高度成長期以降に整備したインフラが今後急速に老朽化することに対し、的確な点検・修繕の実施や予防保全の考え方に立った長寿命化計画の策定など戦略的な維持管理・更新を推進します。国土交通省としては、昨年を「メンテナンス元年」と位置付け、3月に社会資本の維持管理・更新に関する工程表をとりまとめるなど総力を挙げて取り組んできましたが、こうした意識が社会に定着してきました。本年も引き続き総合的・横断的な取組を推進してまいります。政府全体としては、昨年11月に「インフラ長寿命化基本計画」をとりまとめました。この基本計画に基づき、国、地方自治体レベルの行動計画の策定等について、国土交通省が中心的な役割を果たしながら推進してまいります。

さらに、これらの戦略的な維持管理・更新の推進を含む21世紀型の社会資本整備を進めるための基本的な考え方である「社会資本整備の基本方針」を策定します。

建設産業は、社会資本の整備や維持管理、災害対応などを担っており、安定した事業の見通しを示すとともに、その役割を持続的に果たしていくための環境整備を進めていく必要があります。このため、若者の入職促進など今後の担い手の確保・育成を進めるため、ダンピング防止、適切な賃金水準の確保や社会保険未加入対策など就労環境の改善に努め、地域を自分たちが守るという誇りをもって仕事に打ち込める環境整備を推進します。また、多様な入札契約制度の導入・活用、より適正な予定価格の設定等の入札契約制度の改革にも取り組みます。

本年も皆様のご理解をいただきながら、施策の前進を「実感」していただけるよう全力で取り組んでまいる所存です。新しい年が皆様方にとりまして希望に満ちた、大いなる発展の年になりますことを祈念いたします。