各地区の意見交換会概要(5)

高知県中小建設業協会との意見交換会
4~7月工事なく新規採用困難
繰り越し工事の適切な扱い求める

高知県中小建設業協会との意見交換会は平成25年12月5日、高知市の高知会館で開催された。全中建本部から土志田領司副会長と押川専務理事、高知県中小建設業協会からは山中栄広会長ら幹部が出席。四国地方整備局建政部の石田政樹建設産業調整官が「技能労働者の賃金水準確保等の今後の取り組み」をテーマに講演した。

最初に土志田副会長があいさつ。続いて山中会長が「高知県は経済力の弱い地域で、地域を牽引(けんいん)する大企業もない。建設業が元気でないと高知県全体が衰退する状況にある。小泉改革以降、十数年間にわたって公共事業の削減が続いたことにより、建設業はたいへん厳しい状況に追い込まれ、大切な経営資源である人材の整理を余儀なくされた。若者は建設業に背を向けており、魅力ある建設業の実現へ努力しないといけない。どこに原因があるのか、しっかり把握して官も民も一体となって対応する必要がある。全中建にさらに尽力してもらいたい」とあいさつした。

このあと石田建設産業調整官が講演した。


同調整官は、建設業の現況、課題などを説明したあと、技能労働者の賃金水準の確保、社会保険加入促進に向けた取り組みについて説明した。

その中で、約1万4000社から回答のあった平成25年度下請取引等実態調査(25年6月末までの状況を調査)の結果を説明。適切な賃金水準確保に関する取り組みを知っていると回答した企業の約53%が給料を引き上げ、取り組みを知らないと回答した企業の約6割が給料を引き上げていないことから、取り組みの周知徹底が重要であるとして協力を要請した。

この講演の後、石田調整官との質疑応答が行われた。


高知県中小建設業協会
個人事業主の取り扱いはどうなるのか。また、人手がないので定年退職者を再雇用して仕事をする場合もある。その場合、社会保険に未加入者にも働いてもらうケースがあるが、どのように対応すればいいのか。

石田調整官
適用除外の制度があるので活用してほしい。詳細については、担当部局に確認してください。

高知県中小建設業協会
会員は全員社会保険に加入している。

調整官
元請は加入しているが、下請の加入率が低く、その加入を進めるための運動を展開している。

高知県中小建設業協会
4月から7月まで仕事がない。それで技能労働者の新規雇用も社会保険への加入もできない。

年間通じて仕事があれば社会保険にも加入できる。空白期があっても社員や技能労働者を雇用し続けているので、経営は厳しい。

調整官
発注の平準化の必要性は本省でも認識している。予算確保に努めている。

高知県中小建設業協会
賃金が高ければ若者が建設業に目を向けると思うので、全中建本部は他団体とスクラムを組んで、しっかりと対応してほしい。

本部
国交省が設けた担い手確保のワーキンググループに参加している。国交省も若年者の建設業への入職の重要性に気がついてきた。その意味で24年から潮目が変わってきた。

国交省の日原建設流通政策審議官(当時)に、行政と業界がスクラムを組んで難局を乗り切らないと、建設業はよくならないとして、真剣な対応をお願いした。

その結果が労務単価の引き上げ、調査基準価格の引き上げの措置となって現れた。今度は業界として応えないといけない状況にある。

高知県中小建設業協会
人件費が上がっている。技能労働者の高齢化が進み、作業効率が落ちているので、歩掛りを変えてもらいたい。

調整官
本省に伝える。

高知県中小建設業協会
先行きの見通しがないと、設備投資も人材確保もできない。国交省には今後10年程度のビジョンを示してほしい。

調整官
そのような要望については、本省においても認識している。

本部
26年度の公共事業予算が25年度より減額になると、盛り上がった気持ちが萎(な)える。いまこそ財務省に予算増大を働きかけるタイミングにある。最低でも横ばいとなるような運動をしないといけない。

高知県中小建設業協会
社会保険への全員加入は29年度からということだが、われわれは技術者も技能労働者も機械も自前で保有し、社会保険にも全員加入している。29年度からの実施では遅いのではないか。

調整官
できるところは早く実施することは良い。

高知県中小建設業協会
設計価格の0.99で予定価格を作成していると公表している発注者がある。1%の歩切りをしている。町長の権限として6%の歩切りを行っている町もある。補助事業では歩切りはないが、単独事業になると30%も切るところがある。

繰越措置が簡単に行えるように全中建が運動してほしい。山間部では降雪によって工事が遅れる。

そのため、繰越を認めるよう要請するが、降雪を繰越の理由としては認めてくれない。

繰越工事は、補正予算で年度末に発注され、翌年の3月末までに完了しない場合に発生する。

以前なら4月にずれ込んでも出納閉鎖までに完成すれば黙認してくれたが、最近は厳格になった。1、2月は仕事ができないので、12月までに90%程度を仕上げておかないと翌年度に繰り越してしまう。4月に入って14日以上遅れると指名停止になる。

現場の実態に合わない設計の工事をわれわれが具体的に説明して、発注担当者がその事実を認めても、現場に注意するというだけで変更には応じない。

現場の実態を知らないまま設計され、そのために施工者負担になっている。適切な設計、適切な予定価格の作成を訴えている。国にも訴えられないか。