各地区の意見交換会概要(3)

全中建鹿児島との意見交換会
下請価格急上昇に苦しむ
設計価格に実勢反映を

全中建鹿児島との意見交換会は平成25年11月27日、鹿児島市内の同協会会議室で開催された。全中建本部から小野徹副会長、押川専務理事、全中建鹿児島から前田正人会長ら幹部14名が出席。講師として九州地方整備局の鴫直俊計画・建設産業課長が「建設産業の今後の取り組み」について講演した。

最初に小野副会長があいさつ。続いて前田会長が「鹿児島県は公共事業に対する依存度が高い。近年、その公共事業が激減し、そのために建設業界は疲弊し、将来に夢のもてない産業になっている。24年、安倍政権が発足してから建設業を取り巻く環境は大きく変化し、工事量が増加している。その反面、技能労働者不足、下請価格の急激な上昇など新たな問題が発生して、入札辞退や不調・不落が発生している。また利益率が悪く、受注量が増えても利益が伸びない厳しい状況になっている。25年度は労務単価が引き上げられたが、下請価格の過度な上昇により、引き上げ分が帳消しの状態にある。適切な実勢価格が反映された設計価格により、適正な利益が生み出される公共工事となるように働きかけてほしい」とあいさつした。

続いて鴫計画・建設産業課長が講演した。


同課長は、建設業の現状と課題にふれたあと、社会保険未加入対策の進め方、技能労働者の賃金水準の確保に向けての関係者の取り組み状況を説明した。

その中で国交省が25年11月15日に公表した下請取引等実態調査結果を紹介。労務単価の引き上げを受けて「賃金を引き上げた企業」が36.6%、「引き上げていない」「その予定がない」が35.6%となっている。引き上げない理由として「先行きが不透明で引き上げる環境にない」「賃金を上げるほど儲かっていない」ことをあげている。

また、社会保険加入を進めるには、建設投資の約6割を占める民間や公共工事の約7割を占める地方自治体の理解と協力が不可欠として、国交省が経団連などの民間発注者団体や自治体へ要請していることも紹介した。

そのうえで同課長は「社会保険加入の前提となる法定福利費の確保を図るため、下請団体が作成した標準見積書の活用を関係者間で申し合わせしているが、まだまだ活用されていない実態がある。標準見積書による法定福利費の確保、賃金のアップを一つの運動として、行政としても全力で取り組んでいくので協力してほしい」と要請した。

このあと同課長との意見交換が行われた。


全中建鹿児島
法定福利費の計算方法について勉強会などを開いて指導する予定はないのか。

課長
説明会などを開いて指導する予定はない。

全中建鹿児島
建築工事の法定福利費は、複合単価、市場単価の中に含まれている価格をジャンプアップさせて、それで予定価格が約1.5%上昇するという説明だったが、単価そのものは引き上げないのか。

課長
土木工事では、本人負担分の法定福利費を含めて労務単価を引き上げている。直轄工事では、法定福利を含めた形で労務単価を引き上げていることを理解してほしい。

全中建鹿児島
例えば、3社の下請から見積もりをとると、すべて違う数字になってしまう。複合単価に含まれている法定福利費の仕分けを下請に任せるのは納得がいかない。

課長
法定福利費の計算方法が示されており、それにもとづいて算出しているが、標準見積書は専門工事業団体がそれぞれの業種の個別事情を踏まえて作成している。納得がいかないという点が出てくるかもしれないが、まず標準見積書を活用して、課題が出てくれば見直していくものであって、いまの標準見積書で固定化してしまうものではない。課題があれば業者間で検討してもらうほか、国交省へもぜひ照会してほしい。

全中建鹿児島
建築工事は複合単価なので法定福利費を算出するのはかなり難しい作業になる。それを下請に作成させるのではなく、国交省が作成して、それをもとに元請を指導すればよい。国交省は逃げているとしか思えない。

課長
標準見積書の作成と活用は、元請・下請の各建設業団体、行政などで構成する社会保険未加入対策推進協議会における議論を経て申し合わされたもので、国交省がやらせているようなものではないこと、また、標準見積書はこれを利用する建設業者が主体的に作成するものであることを認識していただきたい。元請団体で見積書を検討してもらうことはありがたい。

全中建鹿児島
元請団体にも標準見積書を作成させたらどうか。

課長
日本道路建設業協会が作成した例もあり、元請団体も作成するのはいいことだと思う。

全中建鹿児島
発注者が歩切(ぶぎ)りをやめれば、社会保険の保険料は確実に確保できると思う。