厳しい環境のもと業界活動をリード

岡本弘前会長が4期8年を振り返る
地元貢献への思い理解しない発注者/大事に育てる知恵を出して

平成17年6月から4期8年にわたって全国中小建設業協会の会長を務めた岡本弘氏が今年6月の総会で退任した。これまで経験したことのない厳しい環境のもとで、業界活動をリードしてきた前会長に4期8年を振り返ってもらった。

--会長在任中の印象に残ること、苦労されたことをうかがいたい

私は平成15年に旭日小綬章を受章した。これを機に業界活動から引退しようかと考えていたが、当時の樋口吾一会長が任期を残して辞任、後任の会長を引き受けてほしいという話が出てきた。当時は受注競争が激しく、受注した工事は赤字という状態で、全中建会員の退会も相次いでいた。私が会長を受けなければ解散も止むなしといった雰囲気だった。そこで、どこまで活動できるか分からないが、やれるところまでやる、それでよければということで会長を引き受けた。

会長に就任した直後から沖縄や鹿児島などの会員を訪ね、解散をしないよう説得して回った。事務局職員の処遇も引き下げた。

--在任中の平成18年1月、改正独禁法が施行になった。その影響は

談合に対する罰則を強化し、その一方では採算を度外視した安値受注を防止するための仕組みも導入されている。その徹底を図るため、安値受注した業者にペナルティーを科すことを公取委に要請したが、応じてくれなかった。

--「政治に強い全中建」を目指したが、そのねらいは

自公政権になってインフラ整備など全体的には前に向かって進んでいるが、これが本当に信用できる動きかとなると疑問が残る。われわれは信用できる人をそれぞれの選挙区において強力に支援し、それらの人たちによって現在の動きを確実に前進させるようにしないといけない。しかし、業界を見ていると、投票すればそれで十分といった雰囲気だ。これでは強力な支援活動、陳情活動とはいえない。

--発注者に望むことは

地方自治体の技術者の力は、建設業界以上に落ちている。われわれは「地域に奉仕する」という言葉を使っているが、発注者はその思いを理解してくれない。安値の契約を最優先するためだろうが、地元企業を活用せずにほかの地域の業者を連れてきて仕事をさせている。そのため、地元企業も地域の特性をマスターするだけの施工力、技術力が身につかなくなっている。地元の事情に精通している業者をもっと活用してほしい。

災害協定も、団体とではなく個別の業者と締結している。それなのに、いざ災害が発生すると団体の会長に「調整してうまくやってくれ」と言ってくる。災害協定は団体と結んではじめて実効性のある対応ができるのに、自治体は場当たり的なことをやっている。

--全中建の今後について

松井守夫会長とは長い間一緒に活動しているので、何が必要か十分に分かっている。それと、皆が目覚めてこれまでやってきたことはこれからも必要だという認識のもと、協力して活動することが大切だ。

全中建が力をつけるには、発注者が全中建を大事にしてくれないといけない。かつては、全中建に加入しているといえば、指名に入れてくれた時代があった。災害対応などで全中建会員を活用するのであれば、発注者に全中建を大事に育てる知恵を出してほしいと私は常々言いつづけてきた。松井会長も同じ考えだと思う。