青木建設業課長が講演

テーマ「最近の建設業界をめぐる諸問題」
公共事業削減のつけは国民に/予算確保、入札制度改善に意欲

9月4日開催された第4回通常理事会で青木由行建設業課長が「最近の建設業界をめぐる諸問題」をテーマに行った講演要旨は次のとおり。


建設投資が急激に減少し、地方によっては3分の1に落ち込んだところもある。それにともない受注競争が激化し、ダンピング受注、利益率の悪化、労務賃金の低下、予定価格の低下というデフレスパイルに陥り、食い止めることができなかった。これを逆回転させるため、公共工事設計労務単価の引き上げ、低入札価格調査基準の見直し、公共事業関係費の確保などを行った。

平成25年度の労務単価は、前年度比で全国平均15.1%、東日本地震の被災地21%の引き上げとなった。落札者だけでなく、応札者全員の見積もった労務単価と、高い賃金が支払われている資格を保有する熟練技能者の給与を採用して算出した結果が10%のアップ。

それに社会保険未加入者が全員加入するのに必要な費用として5%を計上して、約15%の引き上げとなった。したがって、25年度労務単価は、これまでの性格を変え、政策的に決めた価格である。

これから26年度の労務単価を決めるための実態調査が始まるが、この調査に25年度の労務単価引き上げと社会保険加入の実態が反映されないと、税金はどこに消えたのかということになる。

このため4月には太田国交大臣から直接、業界へ適正な賃金の支払い、社会保険への加入を強く求め、これを受けてさまざまな動きが見られる。全中建も会員への周知徹底のため意見交換会の開催などを行う中で、特に市町村を対象に歩切(ぶぎ)りなどの調査を予定している。国交省でも同様の調査を実施しているが、その裏づけの調査になるので期待している。

国交省は地方整備局に相談窓口を設けているが、そこには「労務単価が引き上げられたのを知らなかった」「発注者は2~3割の歩切りを行っている」といった意見が寄せられており、周知徹底に向けた動きはまだ不十分だと思っている。

今後、専門業者から元請へ法定福利費の内訳見積書が提出されることになるので尊重してほしい。人件費、安全費、福利厚生費は本来、競争になじまない費用であり、内訳明示することで、競争の外に置くべき金として、発注者から技能労働者に至るまで意識を共有するようにしたい。

低入札価格調査基準価格を今年5月から引き上げた。一般管理費等の算入率が30%では、低すぎるという指摘があったので、今回は本社の給与等も現場の品質に影響を及ぼすという理屈などで55%へ引き上げた。これにより基準価格が2%程度上昇する。

2%程度では影響は少ないという見方があるかもしれないが、粗利の2%アップは意味のあることであり、技能労働者に賃金を払うという運動を効果的に進めるうえで若干のガソリンになることを期待している。

公共事業費は、復興事業やアベノミクスによる財政出動で増えている。これが再び減少に転じるようでは何にもならない。26年度公共事業予算が今年度の5.3兆円を下回るようだと経済のマインドにマイナスの影響を与える。これをいかにプラスにもっていくかが年末にかけての大勝負だと思う。補正予算で公共事業を積み増すという意見も出るかもしれないが、補正は次の予算の足がかりを残さない。

今後3年間は選挙がないので、公共事業に対して逆にぶれる議員がいる。そういう議員は、災害対応とかメンテナンスの担い手がいなくなり、最終的には国民につけが回るということを学ばなければならない。

入札契約制度は、不祥事などの外圧によって指名競争から一般競争、総合評価方式へとかじを切ってきた。しかし総合評価方式は、発注者にとっても労力がかかるといった指摘もあるので、原点に戻って、事業や地域の特性に応じて最も適切な方法を選びとっていく方向に転換することを考えている。

発注者のマンパワーでは対応が難しいので、支援や共同で行う仕組みを考える。従来型ではない交渉方式や複数年契約、複数業務の一括発注、ロットを大きくしたうえでの共同受注など動きやすい仕組みを考えたい。自民・公明両党とも連携しながら検討しており、地方自治体が使える仕組みをつくっていきたい。

建設業は担い手がいなくなるかどうかのがけっぷちに立たされており、予算確保や入札契約制度の改善などで後年、25年度は建設業がよくなった節目の年だったと振り返れる年としたい。