指定席

存在価値ある全中建を目指して
(一社)全国中小建設業協会 理事
神奈川県中小建設業協会 会長
河﨑組建設業株式会社 代表取締役社長 河﨑 茂

明治22(1889)年に会計法が公布され、中央政府の調達で今日でいう一般競争入札が初めて採用されました。

これをビジネスチャンスととらえ、十分な知識や経験がないまま落札し、手抜き工事などを行う業者も現れたことから、これらの不良業者を排除するため、明治33(1900)年に指名競争入札が導入されました。さらに、大正10(1921)年の会計法の大幅な改正により、ほとんどの工事で指名競争入札が採用されることとなりました。

こうして、公共工事では1世紀にわたり指名競争入札が調達の方法として採用されてきましたが、平成12(2000)年の「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」により、地方自治体を含めて全国的に一般競争入札が普及し、現在では一般競争入札が一般的な調達の方法となっています。

一般競争入札の普及により、長い年月をかけて培ってきた経験や実績、信頼性が否定され、資格さえあれば誰でも参加できることから、熾烈(しれつ)な競争をして当たり前、安くて当たり前の厳しい価格競争を強いられ、ダンピング受注に誘導されています。

一般競争入札が普及する以前は、適正な利益が確保できる受注の見通しが立ち、それに合わせた人材や資機材の確保など、安定した経営を行うことができるメリットがありました。

しかし、くじ引きによる「運」で受注が決まる現在の方式のもとでは、まったく先の見えない経営にならざるを得ず、多くの建設企業が経営難に陥るばかりか、倒産、廃業といった厳しい道をたどっています。

このような状況のなか、全中建をはじめ多くの団体が会員の減少により、衰退しています。まさに、一般競争入札は建設業の健全な経営を否定する制度といえます。団体を構成する会員の経営が安定してこそ、団体の活性化が図れます。そのためには、指名競争入札の拡大と予定価格の上限拘束性の撤廃、大手との差別化が不可欠です。

中小建設企業が生き残るため、「もの申す全中建」として、政治、行政に大きくアピールし、会員にとって全中建がなくてはならない唯一の組織となるよう、さまざまな活動を積極的に推進していくことが何よりも大切であり、そのためにも全会員が一丸となって取り組んでいかなければならないと強く思います。