工夫すれば利益の出る仕組み構築/元気で頑張れる建設業へ

佐藤信秋参院議員が講演

佐藤信秋参院議員は、5月29日に行われた全中建理事会に出席して講演し、6年間の議員活動を振り返るとともに、当面する重要課題の解決に取り組む強い決意を語った。その中で同議員は、平成25年度公共事業予算の確保、25年度設計労務単価引き上げ、一般管理費等率の引き上げによる低入札価格調査基準の改定に関して同議員が取り組み、実現に漕ぎ着けた舞台裏を明らかにしたほか、今後想定される大地震に備え、強靭(きょうじん)な国土づくりに向けて計画的かつ着実な公共投資の実施、ダンピング受注の排除、予定価格制の見直しなどに全力を傾注する姿勢を強調した。同日の理事会における佐藤参院議員の発言の要旨は次のとおり。

皆さんのおかげで自民党は先の衆院選で勝利し、政権に戻ることができた。アベノミクスで、日本の景気は上向きになっているが、自民党が政権に戻らなければ、大変なことになっていた。

昨年、消費税の引き上げが決まったとき、親しくしている財務省の局長にそのお礼と同時に、「25年度の公共事業予算は15%削減させてほしい。その代わり補正予算でみる」と同意を求められた。

私は「補正はいらない。3年間に30%の予算を削減しておいて、さらに削って4年間で公共事業費を半分にするつもりか。絶対に認められない」と拒否した。民主党も財務省と同じ考えだった。

その後の選挙で自民党が勝利したことで、この件は自然消滅したが、もし負けていれば、底なし沼の削減が続いていたかもしれない。

▽技能労働者の賃金改善

6年前、参院議員に当選した際に、皆さんに約束したことの一つは、災害対応をしっかり行うということだった。

私が土木という仕事を選んだのは、高校2年のときに新潟地震を経験し、その被害をみて、災害に強い国土づくりに取り組みたいという思いからだった。

太田国交大臣も土木屋だが、大臣とは大学時代からのつきあいがあり、そのおかげでいくつかの懸案を解決できた。

災害から故郷(ふるさと)を守るためには何が必要か。地元建設業者に頑張ってもらうことが大切だと考えている。建設業が元気になって頑張れるようになること、それが私のやり残した仕事だと思っている。
建設業が元気になるには、まず働いている人たちが頑張れる環境を整えることであり、それには建設労働者の賃金が安くなっているので、賃金、処遇を改善することが必要だ。公共工事の設計労務単価は、15年間下げ続いてきた。私はこれを引き上げるための仕込みを5年前から続けてきた。

技能労働者は年間に1~2カ月の手待ちがあるので、年間の支払い給与を実働時間で割らないと適正な単価が出てこない。そうすれば1割程度単価がアップすると考えていたので、かつての仲間に補足調査を求めた。担当者は当初その意味がよく理解できないようだったが、3年にわたって調査した結果、1割の引き上げが必要なことがわかったといってきた。

▽社会保険料は発注者が負担

ところが政権が代わって、大臣が公共事業費を2割削減した。工事単価を2割減額すれば、同じ事業量を確保できるといっていたため、このときは労務単価のアップは実現できなかった。

▽ダンピング防止対策

社会保険への加入を5年以内に実現する動きが始まった。そこで私は法定福利費をきちんと単価の中に含めて発注者は負担しているのか、社会保険料を支払う事業者も働く人もその負担をどうするのかを注視している。発注者が保険料を負担すべきだと要請した。

使用者も雇用者も15%の保険料を支払っている。社会保険の未加入者は建設労働者の3分の1にのぼるので、その人たちが加入するためには、15%の3分の1の5%の費用が必要となる。この線は譲れないと伝えた。それで今年の設計労務単価は、実勢価格上昇分10%に法定福利費相当分の5%を加えて全国平均で15%のアップとなった。

経営者の皆さんは、働いている人に賃金を適切に支給してほしい。

▽ダンピング防止対策

私が議員になった当時の公共工事は、予定価格の30~40%でも落札でき、ダンピング受注が底なし沼の状態だった。その防止を図るため、低入札価格調査制度を最低制限価格制度とほぼ同じ扱いにしたうえで、基準価格を4年間に3回引き上げさせた。昨年さらなる引き上げを求めたが、5年で4回ですかといわれた。

しかし、基準価格の算定式のうち、一般管理費等の割合が30%と低すぎるので70%への引き上げを要請した。70%へ引き上げると、基準価格は予定価格の90%程度になるが、55%にしてほしいということだったので認めた。

基準価格の引き上げに対し、国交省は理解してくれるのだが、昔の仲間が財務省や総務省、会計検査院と折衝すると負けてしまう。

それで、私が直接これらの関係機関との折衝を行わざるを得なかった。これにより基準価格は予定価格の88%程度に設定された。

しかし、これでも十分ではなく、もう少し引き上げて、仕事をして工夫すれば利益が出るような仕組みにする必要があると考えている。

法律的な問題は、脇雅史先生と一緒に取り組んでいる。発注者が積算した金額(予定価格)が上限という仕組みはおかしい。他の国にはみられない制度でもあるので、改めさせる。それと同時に、出血受注を止めるためのさらなる対策も講じさせたい。

▽強くしなやかな国土へ

東日本に大地震が発生した後、20~30年以内に首都圏、西日本に大地震が起きている。大地震に備えるため、強くしなやかな国土づくりを進める。すでに法案を国会に提出しているが、それぞれの地域を強くするため分散型国土にする必要がある。

それには公共投資だけを行えばいいというわけではなく、エネルギー、情報通信、民間ビルの耐震化など民間の投資も同時に進め、強いまちづくりを目指す。

削られた公共事業を着実に取り戻しながら、全国と地域ごとの整備計画をつくって、民間と一体になって国土づくりを進める。