図書紹介

「国土強靭化日本を強くしなやかに」その2
道路のネットワーク

今回ご紹介するのは、元国土交通省技監の大石久和先生の講演録「道路の強靭化とは」。道路のネットワーク効果をとてもわかりやすく解説しています。特に興味深かったのが、ネットワークの絵を使った環状道路の意義の説明です。

まずは左の絵から。環状道路がなければ交通は全部都心に集まる。そしてAからFに行くルートは1とおり。都心(中央の交差するところ)は常にどのパスも使うから大変混雑。次に真ん中の絵、循環道路を入れてみると17とおりで結ばれる(同じ地点を通らないように。実際やってみて17とおりをすべて確認できたときはとてもすっきり。案外難しかった)。環状道路の大いなる意義を再確認。

そして右の絵へ。EとFを結ぶルートを外すと、17とおりだったのが6とおりに減ってしまう。つまり、EF間はAF間に関係がないように見えているのに、11とおりもAF間の連結を助けていた。

EF間のインフラ整備の現状の考え方は、EF間の交通量とEF間の建設費で割り算をして、やるかどうかを判断しているけれど、本当にそれでよいのか?EF間はAF間の連結を助けている。このような価値観をこれからのインフラ整備の理念の中に入れなくてはいけない。
また、高速道路のインターチェンジから5キロ以内のところに多くの工場が立地していて、10キロ以内のところには75%以上の工場が立地する。このような効果を道路整備価値として考えに入れる。

さらに、公共空間としての道路空間を考える。木を植えることによるビオトープネットワークとしての緑の供給空間、地震にともない多発する火災の緩衝帯としての空間、などなど。

人口が減少する中で、さらなる新しい道路は不要との説もあるが、逆に人口が減るからこそ、少ない人口でも(福祉などの財源となる)財を生み出すような経済活動が行える効率的なインフラ整備をしておくことが必要なはず。

本来、日本人はとても勤勉で頭がよい。これまで使われてきた費用対効果の算出方法から、これからはさまざまな視点を取り入れた、より高いレベルの算出によるインフラ整備計画を堂々と国民の皆さんに説明してもらえるようになるといいですね。