東日本大震災被災地リポート/3処理施設を視察

リスク管理、行政との連携の重要性を知る
(社)愛知県土木研究会環境問題等対策委員長
(株)ナルセコーポレーション代表取締役成瀬介宣

(社)愛知県土木研究会・環境問題等対策委員会の6名と事務局の7名で、1年半が過ぎた被災地、宮城県仙台市周辺を1泊2日の日程で視察してきました。

目的は、東海地震、東南海地震の災害が起きたとき、私たちはどのような心構えや準備をしたらよいのか、震災直後の業界の動きや業者としてとった行動、現在の様子、がれき処理の進しん捗ちょく調査をすることです。

朝1番機で仙台空港へ。(一社)みやぎ中小建設業協会の畑中会長をはじめとする役員のお出迎えをいただき、あいさつを終えると直ちにマイクロバスに乗り込みました。完全復旧した空港を後にし、最初の目的地である名取市閖上(ゆりあげ)地区漁港に向かいました。

道路を走ると景色は一変。住宅は基礎だけを残して流され、町全体が消滅して荒野原の様相を呈し、廃校となった学校は当時のままの姿で残されていました。さらに進むと、防波堤が大きく削られている姿とともに、がれきの山(仮置き場)が次々と現れ、荒々しい震災の爪痕(つめあと)を否応なしに目にしました。

荒浜震災廃棄物仮置き場では宮城建設の宮城社長と現場の担当者から説明がありました。仙台市内に3カ所ある仮置き場の1つで土地は国有地。発生後に産廃協会に依頼があり、協会員3社で1現場を運営・管理しています。面積は32ヘクタール、作業員55名、処理量350トン/日(焼却施設は別)。家電は重機で積み込まれたため、全くリサイクルができていません。土砂は、宅地土砂と耕作土砂に分別。最盛期の受け入れダンプは1700台/日でしたが、現在は減少しています。今後はコンクリートガラが増える見込みとのことです。焼却は昨年12月までに完了、処理場は1~1.5年で終了する予定です。

つぎの東松島市廃棄物仮置き場では和建設の鈴木社長にご案内いただき、金属、自動車、家電製品、たたみ、衣料、布団など14種に分別された廃棄物を見て回り、その異常な量に圧倒されました。

午後は、宮城県の処理施設で最大規模の石巻処理場を旭興業の浅野社長の紹介でご案内いただきました。その概要は、委託費1832億円(数量減少で減額予定)作業員680名、鹿島を代表とする9JVの企業体で構成、全体の面積は68ヘクタール、東京ドーム15個分の面積だそうです。粗選別ヤード、破砕選別ヤード、土壌洗浄設備、土質改質設備、焼却施設で構成され、それぞれの設備がフル稼働しています。2タイプある焼却炉5基で1日当たり1500トンもの焼却物を処理しています。また災害廃棄物を貴重な復興資材としてリサイクルにも力を入れています。

その後、女川町を視察した後、仙台市に戻り、協会の役員の方々と意見交換をしました。

震災直後の状況と津波が来たとき、業者として何を考え、どのように行動したのか、現在の入札不調の原因、設計単価、仕様、工期、地元業者と県外業者や大手の受注状況のほか、施工側の材料や機材の調達、単価、人件費の今後の予想される問題点、復興のスピードなど現地の生の声を聞くことができ、有意義な時間を持つことができました。

一夜明け、翌日の午前中は仙台市内の地すべり被災地、午後は七ヶ浜、多賀城市、仙台港と回り、蒲が生もう地区の災害復旧工事を視察しました。以上、予定した視察先のすべてを駆け足で回ることができました。

今回の視察では、(1)会社自体のリスク管理、事業継続への心構えが早期の活動と貢献につながる(2)社員の安否確認方法、通信手段の確保、非常時の資金(現金)などの確保(3)備蓄資材の確保、水、食料、自家発電装置、燃料の備蓄(4)行政の信頼関係の構築が必要。常日頃の情報交換、災害・緊急時などの貢献で信頼される組織でないと依頼されない。防災協定などの締結が重要といった教訓を得ました。

最後になりましたが、今回の視察の全てにお世話をしていただいた(一社)みやぎ中小建設業協会の畑中孝治会長と役員の方々にお礼を申し上げ、報告とさせていただきます。