下請まで金が流れる仕組み構築

青木建設業課長が講演

国土交通省の青木由行建設業課長は、9月25日に開催された理事会で「最近の建設業界をめぐる諸問題」をテーマに講演した。講演の要旨は次のとおり。


今年7月に「建設産業の再生と発展のための方策2012」を発表した。「同2011」で踏み込み不足だった点と東日本大震災後に顕在化した問題点への対応を図るために「2012」をまとめた。したがって、「2011」と「2012」は一体だ。

建設投資はピーク時から半減した。許可業者数も10%近く減少している中で、大規模工事の元請となる特定建設業者は十数%も増えており、競争激化の要因となっている。国交省の工事では低価格による応札は減少しているが、地方自治体の発注工事では低価格入札が年々増加している。

企業は、売上が減少していることで直用をやめ、外注に切り替えている。それでも販管費の比率は低下せずに、売上高営業利益率は下落している。

就労形態にも変化が現れており、常雇い、月給制の割合が低下している。

建設就業者の高齢化も一段と進み、55歳以上の就業者が約3割を占め、29歳以下の就業者は約1割にとどまっている。

平成24年度の労務単価は9年度に比べ約30%も下落し、低下傾向にある。被災地では技能工が不足しているが、全国的にも型枠工、鉄筋工、内装工の確保が困難になっていると聞いている。

地方自治体の土木部門の職員数は、平成4年に比べ25%も減少し、マンパワー、スキルに懸念を残している。

このように建設産業を取り巻く環境は厳しくなっている。仕事が増えれば単価が上がり、経営面の改善も進むと思うが、現在は一気に工事量が回復する状況にはないので、ある程度の工事量の中で地域にとって必要な建設業を残していく仕組みが重要である。

そのためには、発注者から元請へ品質確保ができる適正な価格で発注されることを出発点に、末端の下請にもしっかり金が流れる仕組みを構築しないと対応ができない。

具体的には、まず東日本大震災対応として講じた復興JV制度やCM方式を、次に災害が発生したときに対応できる恒久的措置として制度化を図る。

また、個々の工事の品質確保に加え、地域社会の担い手確保が発注者の責務ということを出発点に、人を大切にする施工力のある企業が適正に評価される環境の整備、専門工事業者などを評価する仕組みの導入、ダンピング対策などを講じるとともに、地域維持型契約方式の採用範囲を広げることも考えたい。

さらに、技能労働者の処遇改善策として、ダンピング対策、下請へのしわ寄せ防止による給与水準の改善、社会保険未加入対策、技能者の資格や工事経験データのIT管理によって技能に見合った処遇が行われるような措置を講じたい。また、技術者データベースを活用した技術者の適正配置を通じて、不良不適格業者の排除を図る。

工事請負契約に係る印紙税については、現行の特例措置(軽減割合10~25%)が25年度まで1年間延長された。社会保障・税一体改革関連法の審議の中で「印紙税については負担の軽減を検討する」と明示され、軽減へ向けた大きな流れがあるので、関係方面への働きかけをお願いした。

金融円滑法が今年度で期限切れとなる。法の施行後、中小企業の返済条件変更の申し出に対し、金融機関はその9割強に応諾しており、中小企業にとって実効性のある施策となっている。

金融庁は期限切れになっても金融機関の融資姿勢が変わることはないと言っているが、注意したほうがよいと思っている。国交省は相談窓口を設けているので、活用してほしい。