社会保険加入は段階的に

塩見労働資材対策室長が講演
未加入のままでは業界の将来はない

事務局長会議で「社会保険未加入対策」について講演した塩見英之労働資材対策室長は次のように語った。


まず、社会保険(健康保険、年金保険、雇用保険)への加入状況について「公共事業労務費調査の結果からみると3保険への加入は企業ベースで84%、労働者ベースでは57%となっている。民間工事になるとさらに加入率が低くなっていると思う」としたうえで、加入しない要因として「企業は受注競争が激化する中で工事利益の確保を優先している」「元請が保険加入は下請の問題との認識を持っている」「技能者が将来の保障よりも日々の手取り額を優先する」「技能に対する自信と自己責任の伝統が技能者にある」ことなどを指摘した。

また、社会保険への加入を推進する理由として、適正に法定福利費を負担し、人材育成を行っている企業ほど競争上不利になっていることや技能労働者の処遇低下が進んでいる実態を踏まえ、公正な競争環境の整備、技能労働者の処遇改善をあげた。

社会保険への加入に向けて、行政、元請、下請がそれぞれ対策を講じるが、元請、下請が負うべき役割と責任を明示した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」が11月1日から施行になる。元請には未加入下請企業への指導が求められる。同室長は「5年間は社会保険に加入しなくてもよいということではない。また、11月1日から未加入業者を現場から排除するものでもない。早い段階に加入するよう指導してほしい」と語った。

また、法定福利費について「直轄工事の積算基準は今年3月に見直した。すでに社会保険に加入している作業員の法定福利費は調査に反映されているので、未加入者が加入した場合に必要となる費用を見込んで改訂した。したがって、全作業員が社会保険に加入できる積算基準になっている。民間発注者にも福利費の確保を要請している」とした。

そのうえで、法定福利費を下請に流すため、元請には法定福利費の計上を発注者に要請するとともに、下請から法定福利費の内訳明示があった場合は、それを尊重して請負契約を締結することを国交省として求めたことも紹介した。

最後に「(社会保険加入問題という)パンドラの箱が開いた。元に戻ることはない。発注者の値下げ圧力が強まる中で、法定福利費を負担するのは厳しい面があると思うが、今これを実現しないと業界の将来はないということを理解して、社会保険加入へ努力してほしい」と結んだ。