各地からの現状リポート

パンダ舎を随意契約――英知出し合い地域に貢献
(社)東京都中小建設業協会副会長・広報委員長
上之原孝(株)上之原工務店会長

今回、我々(都中建)がこのコーナーを担当することになりました。くしくも都中建の広報委員長ということで、私にその役がまわってきました。不思議な縁です。

残念ながら一週間の命でしたが、今年7月5日に上野動物園のパンダに24年ぶりの赤ちゃんが生まれました。「全中建だより」とは、あまりぴったりとは言えないかもしれませんが、私はパンダを題材にしようと思いつきました。

昭和47年に田中内閣が誕生し、日中国交回復のお土産にパンダが初めてやってきたのが上野動物園でした。その日本で最初のパンダ舎をつくったのが私どもの会社でした。大変な騒ぎでした。

図面もない、何もない、決まっていたのは、(トラ舎)を改造しようということだけでした。

午後3時に動物園に呼ばれて「明日からやってくれ」とのことでした。私は3カ所くらいのお施主様に事の詳細を説明し、1週間だけ工事を休ませてもらうことの了解を取り付けました。打ち合わせどおり準備をして現場へ行くと、追加また追加で仕事は増えるばかり。

1週間たっても増えるばかりで先が見えません。最後は3週間近くかかったかな?

テレビでは連日報道されるし、上空でヘリコプターはうるさいし、工事が進むにつれて報道合戦はエスカレートするばかり。そんなある日、NHKが15分間、工事案内をバックに全国放送したので、また大騒ぎになりました。
現在は、何かと悪者扱いされている随意契約制度が、当時は多用されていたので、何とか工事も工期内に完成したのだろうと思っております。

また、当時は当局と我々業界との考え方も概ね合致していましたから、スムーズに事が進んでいたのです。現在は何でもかんでも平等、規制がらみで、皆で譲り合う、助け合う精神はなくなってきました。
当時のような譲り合い、助け合いの精神に明治以来の建設業者の営業の知恵を絞って努力すれば、昨今のような、それぞれの地域の老舗の優良で真面目な仲間が廃業、倒産に追い込まれることもなくなるのではないかと私は思っております。

我が区(文京区)でも平成14年は38社だった会員が、現在は19社まで減ってしまい寂しい限りです。
残った我々だけでも、英知を出し合って厳しい現在を生き抜き、地域社会に貢献できるように頑張りましょう。