指定席/「ブルータス、お前もか」のフォロ・ロマーノ

全国中小建設業協会副会長・建設業振興対策委員長
小野建設(株)代表取締役小野徹

ローマの独裁官(インペラトール:エンペラーの語源)に就任したユリウス・カエサルが、「ブルータス、お前もか」と、暗殺者たちの中に愛人の息子を見つけて絶句したのが「フォロ・ロマーノ(公共広場)」の中の元老院である。

地中海の勢力を二分した宿敵ポンペイウスに勝利し、「来た、見た、勝った」の言葉を引っさげて、ローマの「フォロ・ロマーノ」に凱がい旋せんしたというのだから、さぞかし立派な場所(広場)かと思うと、全然イメージが違う。

勿論、この「フォロ・ロマーノ」には、凱旋者が通る「聖なる道」や、いくつもの神殿、元老院、演壇、裁判所、商取引所などが配置されていたのだから、広大には違いないが、イメージよりずっと低いところにあって、戸惑う。

つまり、いかにここがローマ建国の地・パラティーノの丘の麓にあって、由緒正しい場所であるとはいえ、神殿までもがやや小高いところにある程度というのは、なかなか理解しがたいが、ローマでは神殿も公共建造物の一種だと考えられていたと聞くと、少し納得する。

それにしても、強大な権力を持って、地中海や西欧世界の中心に君臨した古代ローマの、そのまた政治、経済、文化の中心だった「フォロ・ロマーノ」。――二千年も前の、ありし日のカエサル、ブルータス、キケロ、アントニウス、アウグストゥス等々の活躍の舞台を眼下に一望すると、胸が熱くなる。

ある時、東京駅の側の高層ビルから下を見下ろすと、様々な高さのビルが、道路に沿って建ち並んでいて、「こりゃまるでフォロ・ロマーノのようだ」と古いにしえ(いにしえ)のローマに思いを馳せた。