指定席

(社)全国中小建設業協会広報委員
((株)暁工務店代表取締役社長)
増渕薫
地域維持型JVの創設にあたって

国土交通省は、「地域維持型JV」を創設するためにJV準則を改定した。この新たな契約方式(地域維持型契約方式)には、不況の影響で倒産・廃業が相次ぐ中、毎年、除雪体制などの確保が問題になっている地域において期待される半面、競争性の確保や受注機会の減少、あるいは都道府県と結んでいる災害協定との整合性がとれないなど、種々の意見があるようである。

地方の建設業界は、公共事業の大幅な削減に伴うダンピング受注の多発や過当競争による受注量の激減などにより、厳しい企業経営を強いられている。特に中山間地域が多い栃木県においては、受注量の減少とともに地域建設業が衰退し、災害対応や除雪、インフラなどの最低限の維持管理すらできなくなる事態が懸念されている。

一方、県においても平成22年度から土木事務所をはじめとする出先機関の統廃合や人員削減などの組織改変を段階的に進めており、施設管理者として道路、河川など公共土木施設の適正管理や災害発生時の緊急対応において、県民の安心安全の確保が喫緊の課題であった。

全中建栃木では、こうした状況から適正な維持管理と迅速な補修作業を行うために、地域ごとでの発注ロットを線(点)から面へ、また、工期も長くするなど、受注者が計画的に、かつ責任をもって業務にあたれる包括的な維持管理業務を行政に対して提案するとともに、建設業協会特有のネットワークや機動力、動員力をもち、行政の補完的役割を担える建設業協同組合(協会支部に併設された)の受注体制の強化を図ってきたところである。

平成22年度には、当局のご理解のもと、「地域維持型JV」の創設に先駆けて包括的な地域維持事業の契約が試行され、県土面積の25%を占める日光土木事務所管内で主に除雪作業を対象にした「維持管理統合業務委託」を日光建設業協同組合が受注した。平成23年度には、県北の大田原土木事務所管内でも試行発注され、栃木県北建設業協同組合が受注している。

今般、「建設産業の再生と発展のための方策2011」で提案されている「地域維持型JV」は、持続的な維持管理を行うための一つの手法としては考えられるが、地域住民の安心安全な暮らしを守るため、中山間地域で日々活動している中小建設業者の存在意義や多種多様な住民ニーズに応えるためにはベストとは言い難い。

栃木県では、地域に根ざした建設業協同組合が実施するなど、地方にはそれぞれ特性があり、地域の実情に即した入札契約制度によって柔軟に対応すべきであると思う。