若手経営者が思うこと

職人さんに良き光を
横浜建設業青年会会長
河本考司(河本開発工業(株)代表取締役)

弊社は、横浜市内において創業から35年が経つ主として土木工事を行っている会社です。
創業時は、大手ゼネコンなどの専属的な協力会社のひとつとして起業したところです。創業者である父親は、多くの職人を雇用し、家族と共に宿舎に寝泊まりし、家族と職人をまとめる一家の大黒柱でした。

当然ながら、当時は忙しく、息子である私と遊ぶことすらままならない状況でした。そんな中、いつも遊んでくれていたのは職人さんだったのを覚えています。そのような環境で育ったせいか、今でも職人さんと話すことが大好きで、一緒に働くことも大好きです。だからこそ、この場を借りて現場の第一線で働く職人さんについて述べさせていただきたいと思います。

近年、建設業界における内部環境の変化が問題視されています。それは、一言で言えば「職人さんの高齢化」であり、「人手不足」であるということではないでしょうか。

仕事柄、各工事現場へ現場調査のために足を運ぶことが多く、たしかに職人の高齢化が進んでいると実感することが多々あります。圧倒的に高齢の職人さんを目にすることが多く、移動中の車中で目に入るいくつかの建設現場などでも、同様に若い職人さんなどは見たことがありません。

そして、最近よく周囲から聞く言葉があります。「仕事はあるけど、職人や下請がいない」。私も実感しています。間違いなく職人は減りつつあります。

なぜこんなことが?長引く景気低迷の中で、入札契約制度の変革に伴うダンピング的な受注競争が繰り広げられる現実。それらが、従前から健全な経営をしてきた中小建設業者の体力を奪い、各下請業者から末端の建設従事者に至るまで、過度な負担を強いていることは否めません。

雇用環境でいえば、ダンピング的な受注を強いられる状況下での労働賃金の低下、適正な利潤の確保ができないことによる社会保険未加入、福利厚生費の削減および施設などの廃止など。一言では言い尽くせないほど多くの問題が挙げられます。

そして、昨今の長期にわたる経済低迷をはじめ入札契約制度改革など多くの外部環境の激変は、建設業界の疲弊を招き、衰退の一途をたどっています。こうした中では、若者が建設業に従事するはずがありません。たとえ従事したとしても、経営基盤の弱い中小建設業界では若手が育成できません。それゆえの「職人さんの高齢化」と「人手不足」ではないでしょうか。

この課題を早急に改善しない限り、日本のものづくりを支える職人さんがさらに減少し、当然のごとく日本の建設業は、より一層の疲弊、消滅へと歩むこととなります。私は、決して過去のような経済の中枢であった建設業へと戻ってほしいと言うものではありません。

しかしながら、建設業の行く末を考えれば、それらの問題を改善し、職人さんの地位向上を早く目指さなければなりませんし、そう願うものであります。

最近、この危機的状況に気づき始めたのか、社会保険加入を入札参加資格の条件とするなど国においても社会保険未加入業者の排除への動きが見えます。この動きは非常に歓迎すべきことです。

しかし一方で、従前の縦割り行政のままで成果を望むことは難しいでしょう。やはり、一人ひとりの意識改革はもちろんのこと、本気で変化に向き合わなければならないのも事実であることは言うまでもありません。

もちろん、これらがしっかりと実行されれば、労働者の適正な雇用環境確保と企業の健全な競争環境の改善の第一歩になることは間違いありません。

そして、建設業の根幹を支える職人さんに、良き光が近いうち当たるよう願ってやみません。