公共事業予算減少に歯止め

安全な国土つくりに向け反転へ
佐々木建流審が講演

1月27日の通常理事会において国土交通省の佐々木基建設流通政策審議官が行った講演の要旨は次のとおり。
*公共事業予算は減少が続き、ピーク時の2分の1にまで落ち込んでいる。社会保障費に予算が回され、公共事業費の削減が長期に及んだ結果だが、このままでは日本の社会資本はガタガタになり、建設業は大変な事態に陥ると財務省に話してきた。

平成24年度の公共事業費は、東日本大震災関係経費が計上されたことから、前年度当初予算の5兆円を1割上回る5.5兆円が確保された。内訳は通常の予算分が4.6兆円、被災地向け復興枠0.4兆円、全国防災の復興枠0.3兆円、地域自主戦略交付金等0.2兆円で、全て公共事業に充当される金額だ。

24年度は、八ッ場ダム、新幹線、外かく環状道路工事が再開されるが、マスコミなどに「公共事業を復活させた」と批判されるのを嫌って、財務省は公共事業予算が増えたとは言っていない。公共事業予算の減少の流れを食い止めることができたので、来年度以降は反転して増やしていこうと考えている。特に今後30年以内に大震災が発生すると言われているので、時間との競争でもある。安全・安心な国土づくりに向けた取り組みを行わないと大変なことになる。

公共事業予算のピークは、補正を合わせ平成10年度の15兆円だが、現在はその3分に1にまで落ち込んでいる。特に22、23年度の2年間で約2兆円、3割も減少しており、24年度が5.5兆円といってもまだ不十分なレベルだ。年度途中で補正予算が組まれると思うので、予算確保に向けてしっかり頑張りたい。

税制関係では、建設機械に使われる軽油の軽油引取税の課税免除期間が3年間延長されることになった。

工事請負契約書に係る印紙税は、財務当局に言わせると担税力のあるところに課税するという考えで、高い税率が課せられている。消費税を現行の5%に引き上げるときに、二重課税にあたるとして廃止を求め、1割軽減されたが、依然として高い税率のままだ。

消費税引き上げの動きの中で、印紙税は消費税との二重課税になる、建設業は重層下請のため同一工事で何回も課税される、電子契約には課税されず、紙による契約とのバランスを著しく欠くことを理由に廃止を求めたが、ハードルは高かった。軽減するというところまで財務当局の言質をとっている。今のままということはない。

建設投資はピーク時に比べ44.7%減、一方で許可業者数は17%減にとどまって、供給過剰の状態にある。利益率も低下して、企業規模が小さい企業ほど経営が厳しい。資本金1,000万円以下の企業の営業利益率はマイナスで利益を上げていない。同5,000万円以下の企業が利益を出せるかどうかぎりぎりの状態になっており、建設業は生きてはいけない状況にある。

こうした中で、中央建設業審議会が「建設産業の再生と発展のための方策2011」をまとめ、地域維持型契約方式の導入など7つの対策を打ち出した。この方式は、地元事情に精通した企業に、安定的に地域維持事業を行ってもらうために採用することにしたもので、今冬の除雪に間に合うように平成23年11月にJV準則を改定した。すでに1市がこの制度を採用、放射線の除染業務に適用している。北海道など11道県が実施する準備を進めている。直轄工事でも4月から採用するよう準備している。

東日本大震災の復旧・復興では建設業が活躍しているが、業界から役に立ちたいと申し出てくるケースが多かった。放射線の除染など本格的な復興事業はこれからだが、被災地の建設会社だけでは対応しきれない。全国的に協力し合うことが必要だ。安全な国土をつくるため新しい課題を検討する。