第23回若手経営者懇談会 第1部

谷脇建設業課長の講演

第1部の講演に移り、講師の谷脇建設業課長は「毎年この会議に参加して、若手経営者の意見、取り組み状況を聞いて、行政を進めるうえでの参考にしている。平成23年は大震災、水害が発生し、その中で復旧・復興では行方不明者の捜索から、がれきの撤去、さらには放射能の除染まで、地元建設業が最も必要不可欠な活動をやって、地域を支え、地域建設業への期待と役割が再認識された年となった。社会資本整備の進め方についても見直しが行われている。本日は国交省が取り組んでいる課題を紹介するので経営の参考にしてほしい」としたうえで、地域維持型契約方式の導入に向けたJV運用準則の改正内容などを中心に、次のように語った。


建設労働者の高齢化が進み、若年者の入職が少なく、問題になっている。地方公共団体の入札契約制度の改善が進んでいる。平成23年の9月現在、最低制限価格を公契連モデルより高く設定しているところが10道県に増え、また、予定価格の事前公表を実施しているところは3年前に比べ14団体減少している。

6月には「建設産業の再生と発展のための方策2011」をまとめ、公表した。この中で7つの対策を打ち出したが、その1つは地域維持型の契約方式の導入である。地域維持事業の担い手を確保するために、一括契約や複数年契約、地域建設企業の共同企業体による受注を打ち出した。これらの方式が必要な地方は採用してほしいと考えている。

2つ目の対策は保険未加入企業の排除である。「排除」としているが、最低限のルールとして社会保険には加入していただくということだ。

3つ目は技術者のデータベースの整備である。技術者の施工実績や経験をデータベース化して活用することを考えている。

さらに、国交省は8月に総務省と連名で、最低制限価格の見直しなどダンピング対策の強化、予定価格の事前公表の見直し、歩切りの撤廃等を求める要請を都道府県、政令市に行った。

また、同じ8月には国交省で「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」を公表した。業界から元・下請関係の適正化を図るには、発注者の対応がきちんとしていないとできないという意見があったので、発注者と受注者との対等な関係を構築する目的で策定した。

10月には、国交省から都道府県と政令市に対して「地域維持事業の実施に要する経費における適切な費用計上」を通知した。監督職員による指示があるにもかかわらず、待機費用が支払われていない実態があることから要請した。

11月には、中央建設業審議会において地域維持型契約方式を導入するため共同企業体運用準則の改正を行い、直ちに関係発注機関に対して実施勧告した。この中で、地域維持型JVの対象工事を、社会資本の維持管理のために必要な工事のうち災害応急対応、除雪、修繕、パトロールなど地域事情に精通した建設企業が当該地域において持続的に実施する必要がある工事で、新設、改良の工事は含まないとした。JV構成員数は当面10社を上限として運用し、構成員の中には総合的な企画・調整・管理を行う一式の許可業者1社が参加する。また、構成員は地域の地形・地質等に精通し、迅速、確実に現場に到達できる者としている。単体と地域維持型JVとの同時登録はできる。

この制度は地域の実情に合わせて実施することになるので、発注者と相談してほしい。

技術者データベースの構築には、建設業法の改正が必要となるので検討中だ。登録できる情報としては、保有資格情報(国家資格、民間資格、実務経験)、現場配置情報、所属企業情報、資質向上情報(継続教育、一定以上の民間資格、表彰)を考えている。

また、義務として監理技術者は登録技術者から選任し、選任された監理技術者は現場配置情報を入力することを求めるが、監理技術者証はそのまま活用し、公共工事ではコリンズを利用する方向で考えている。

これらの入力したデータは、発注者、許可権者にはすべてを公表するが、民間発注者にはどこまで公表するか検討している。

社会保険への加入は、5年を目途に加入義務のある許可業者は100%、労働者個人は製造業並み水準(雇用保険92・6%、厚生年金保険87・1%)を目指す。加入促進に当たって不公平な扱いにならないような段取りを考えている。この措置は24年夏ごろから適用したい。

TPPについては、11月に野田首相がホノルルで開催されたAPEC首脳会合において、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることを表明した。TPPの作業部会には政府調達部門もあるが、その展開はこれからだ。各国の建設市場の開放度を見ると日本は地方政府機関もすべて開放しているが、米国は37州が開放しているだけだ。