若手経営者が思うこと 行き先は何処

一般社団法人宮崎県建築協会青年部会幹事
川﨑裕貴((株)黒木工務店代表取締役)

棟梁だった祖父、企業拡大に励んだ父の姿をみて建設業界に飛び込んでもう、14年が過ぎました。
最初はゼネコンに籍をおき、その後、父の急逝のため実家の工務店を継いだという環境の変化のせいもあるでしょうが、それ以上に建設業界を取り巻く環境は、この14年で劇的に変わりました。いえ、ここ数年という方が正しいかもしれません。

近年続く景気の低迷の中、口蹄疫、鳥インフルエンザ、さらに東日本大震災が起こり、命とは、仕事とは、家族とは……さまざまなものの本質が改めて問われはじめました。もともと快適な建物をつくるという「ものづくり」というところに端を発しているこの仕事、現在は価格競争ばかりが優先され、心をこめた「ものづくり」というところから視点がずれてしまっています。

私自身、そのことを大変忌々しく思いながら業界全体の動向に流されてしまっています。しかし反対に、今回の震災をきっかけにしてものごとの本質、人生の本質、つまり、仕事とは、家庭とは、人と助け合うこととは、ということが見直されていけばと切望しているところです。

手間のかかるものには適正な価格を払う、高くても自然エネルギーを使う、初期投資が高くても環境によい自動車を選ぶ……そうやって日本全体が日本を見直し、日本人を見直していければよいと願います。そうすれば、現在のような労働力の安い中国や東南アジアに工場をつくり、結果、技術まで流出し、似たものを安価につくられて自社製品の販売に影響が出るような本末転倒の事態は避けられていくのではないでしょうか?

もっともっと日本人が日本にこだわり、日本の良さに気づき、手間や労働力を惜しまないで、丁寧にやり取りをするという良いスパイラルが広がっていき、そのことが雇用を生み、活気を生み、仕事を生み、家族の幸せを生んでいく社会をつくっていけるとよいと思っています。

そのためにこの業界で何ができるか、何をしなくてはならないか、現在私は模索中です。そんなことを語りながら飲むお酒は美味しいと皆さん思いませんか?そんな輪を広げていきましょう。しかしながら、その思いと同時に会社継続のことを考えると、また矛盾した価値観が芽生えたりもするのです。

……ふと思い出すのです。少年野球時代、日が沈むまでひたすらボールを追いかけていた日々を。あの頃のような迷いのない矛盾のない自分を、本当は探しているのかもしれません。