保険未加入企業の排除策

内田労働資材対策官が講演
労務資材委

平成23年度第1回労務資材対策委員会は、9月27日、東京大手町の朝日生命大手町ビルで行われ、国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課の内田欽也労働資材対策官が「労務・資材をめぐる最近の情勢」について講演した。同対策官は、建設産業戦略会議が6月にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策2011」(再生方策)に盛り込まれた7課題のうちの「技能労働者の雇用環境の改善」を中心に対策を説明した。

売上高減少に伴う固定費削減策として技能労働者の外部化(一人親方化)、賃金の低下が進んでいること、法定福利費を負担しない企業が安い価格で入札し、施工力のある企業を駆逐していること、さらに人材確保という観点からも保険加入はきわめて重要で、「工業高校の教師が保険に加入していない企業には生徒を紹介しないと言っている」(内田対策官)といった事情もあることから、再生方策では、これらの課題への対応策として保険未加入企業の排除を取り上げている。そのために行政、元請、下請が一体となった対策を講じるとしているが、それぞれが実施する検討中の排除策について内田対策官は次のように語った。

まず行政としては、許可更新時の加入状況確認、公共工事参加者の加入状況確認、建設業担当部局による立ち入り検査を行う。具体的には、許可更新時に保険への加入状況が分かる書類を添付し、加入していない場合は加入を指導し、それでも加入しない場合は保険部局に通報する。経営事項審査における保険に加入していない企業の減点幅を拡大する。立ち入り検査については、公共工事だけでなく、一定規模以上の民間工事でもチェックが必要と考える。

元請として実施する事項としては、施工体制台帳に記載される下請企業名の中に保険加入番号も記入して企業単位としての加入状況を確認する。作業員個人については、作業員名簿に個人の保険番号を記入して加入状況を確認する。

社会保険への加入を徹底すると一人親方や偽装請負が増えるという指摘があるが、要は法定福利費が施主から下請まで流れることが必要で、8月下旬に作成した「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」の中で法定福利費は発注者と受注者が見積もり時から必要経費として適正に考慮すべきとしている。

今後、1年程度を周知期間とし、その後は5年をめどに加入義務のある許可業者は100%、個人単位では製造業並み(雇用保険93%、厚生年金保険87%)の加入を目指す。中央建設業審議会と社会資本整備審議会の合同小委員会で方針を来年2、3月頃までにまとめ、来年の夏頃に制度を適用したい。

このあと、意見交換が行われ、内田対策官は「保険の未加入企業を排除する動きを業者が知らないという事態は避けたい。今後、検討会を設置して、具体的な制度の内容や取り組みの周知方策を検討していく」と述べた。

委員会委員は次の通り。

委員長・青木誠光(高知)、委員・佐々木陸夫(岩手)、堀口宗弘(東京)、山谷朋彦(横浜)、臼井良太(静岡)、伊貝英治(愛知)、廣嶋誠二(三重)、田秀則(福井)、樋口進一(大阪)、小林正義(鹿児島)