指定席 あなたにとって公共工事とは

(社)全国中小建設業協会広報委員((株)長野工務店代表取締役)
長野真行

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、東北三陸沿岸部を中心に関東地方にまでおよぶ甚大な被害をもたらしました。福島原子力発電所の破壊、放射能漏れ、拡散は東北・関東一円に被害を与えています。また、8月の台風12号、9月の台風15号による豪雨のため、河川の氾濫、山間部の土砂崩れによる被害が生じました。

被災された地域の皆様方に対しまして、心よりのお見舞いと速やかな復旧・復興をお祈り申し上げます。

当社は、今年創業97周年を迎える土木工事建設会社です。創業当時より公共工事を中心に施工し、自治体との災害協定に基づき災害対応復旧工事には積極的に参加しています。このためには、日頃から経験にもとづいた技術の向上、新工法など知識の研鑽を積み重ねて緊急時に備えなければなりません。

復旧・復興の整備(道路・上下水道・電気・ガス・通信)は建設業者が中心となります。平成7年には、阪神大震災の復旧支援隊に参加いたしました。大規模な災害復旧に対応するのは初めてでしたが、できるかぎりのことはしたいと、建設業に携わる者として誇りをもって復旧にあたりました。その後、平成19年の新潟県中越沖地震の支援活動隊派遣、平成23年の東日本大震災の災害復旧隊派遣と復旧の手伝いをいたしました。

現在、建設業者の淘汰の時代といわれています。公共事業予算の大幅削減による公共工事の減少が引き起こす不毛な価格競争が中小建設業者の体力を奪っています。建設業界の現状を教育機関も把握しており、学部の閉鎖など学生も減少しています。中小建設業者に入社を希望する若者も少なく、また、会社にも若者を一人前にするまでの資金力がありません。

さらに、受注の減少により手持ち重機活用の場面が少なく、維持が難しいため、レンタルを利用せざるを得ず、災害時にすぐ対応できないという現状にあります。災害用資材備蓄倉庫や置き場の賃借料費用もコスト削減のための対象となってきています。災害に対応するための準備は、満足のいくレベルに到達していません。

今回の大震災や台風被災にともない、防災の視点から数多くの問題点が浮き彫りになりました。公共工事の必要性、重要性を国政レベルで見直し、地方自治体は官民一体となり防災対策、住環境の整備を推進すべきです。