地域維持型JVなど提言

戦略会議が建設業の再生方策示す

国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大教授)は6月23日、「建設産業の再生と発展のための方策2011」をまとめ、大畠章宏国交大臣へ提出した。

同戦略会議は、建設業の再生方策を検討するために、馬淵前国交大臣の指示で設置された。今年1月6日には当面の基本方針を公表していた。

今回まとめた建設産業の再生と発展の方策は、建設業の現状を定量的に分析したうえで、課題と対策を提示している。

現状分析では、建設投資の減少に比べ企業数が減っていないこと、販管費負担が重く、営業利益率が低迷していることなどから、建設産業の活力が大きく低下し、企業数が過剰になっていると指摘した。
そのうえで、今後の課題として地域社会の維持を担う企業の確保、技能労働者の雇用改善、技術者の育成と適正配置、公共調達市場と受発注者関係等を取り上げた。

「方策」には、これらの課題に対応するための対策を盛り込んでいる。地域社会を維持する建設業の確保方策としては、地域維持型の契約方式の導入を求めている。

その一つは、時期や分野、地域を一括で複数年契約する方式である。複数年契約することで次年度以降の仕事の有無に対する不安を解消しようとする考えである。

もう一つは地域の建設業が共同で地域維持事業を受注する仕組みとして、新しい「地域維持型JV」の創設を提言した。

また、「方策」では社会保険未加入の解消を打ち出した。法定の社会保険に加入せず、経費負担を軽減して競争力を高めるという現状に強い懸念を示し、今後の目指すべき目標と工程を具体的に描いた。企業単位での保険加入を100%、労働者単位での保険加入を製造業並み(雇用保険92.6%、厚生年金保険87.1%)を目標とし、1年程度の周知期間を設け、保険未加入の解消方策を大規模工事から段階的に拡大し、5年をめどに目標を達成するとした。

この目標を達成するため、行政、元請、下請に一体となった取り組みを求めた。行政の指導監督方策として許可更新時の加入状況確認、公共工事参加者の加入状況確認、建設業担当部局による立入検査をあげた。

入札契約制度の適正化では、地方自治体における予定価格の事前公表の廃止や調査基準価格の引き上げ、地域要件の運用方針の策定、地元企業活用型の総合評価方式導入のほか、入札参加希望者を簡易な技術審査で5者程度まで絞り込み、技術と価格による総合評価で落札者を決める2段階審査方式の導入の検討などを採り上げている。

このほか、監理・主任技術者の資質向上や適正配置の徹底につながる技術者データベースの整備、現行の28業種区分の見直し、片務的な請負契約の解消に向けた「建設業法令遵守ガイドライン」の策定などを提示している。

これらの措置は今後、中央建設業審議会での審議を経て、実施に移される。

全中建は今年2月、同戦略会議に対して、中小企業の窮状打開策として指名競争入札の採用、予定価格の事後公表、最低制限価格90%以上の設定、予定価格の上限拘束制の撤廃などを要望していた。