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建設産業戦略会議の提言
大震災対策に一丸となって取り組もう
(社)全国中小建設業協会副会長・広報委員長豊田剛


われわれ建設産業の再生策を示す「建設産業の再生と発展のための方策2011」が本年6月にまとまった。

これは、国交省に「建設産業戦略会議」が設置され、長期にわたり審議を行い、従来さまざまな対策が試みられてきたが、抜本的解決には至っていないテーマについての重要な提言である。

その基本的な意義は、長年にわたる公共事業の削減に伴う業界の極度な疲弊に対して「地元建設業を維持しなければならない」という危機的な発想がそもそもの始まりである。

その主な点は、地域維持型契約方式の導入、保険未加入企業の排除、技術者データベースの整備等々の重要な7項目から成り立っている。

さらに、国交省はこの実現に向けて、諮問機関である中央建設業審議会(中建審)を開催、具体的な取り組みとしてワーキング・グループを発足させ、実務に精通した関係者により大きく前進しようとしている。

全中建においても、この中建審の委員として参加しており、われわれ会員も強力にバックアップしなければいけないと思う。

①地域を維持するためには健全な建設業が生き残れる仕組みが求められ、地域維持型契約方式(JV)を確立し、総合評価方式の見直しを行い、再構築する。
②不良不適格業者の定義があいまいだったものを明確にし、保険未加入企業の排除や重層下請構造を是正する。
③優れた技術者を育成し、適正に評価するには、その技術者を活用するためのデータベースを構築し、不適正配置をしてきた企業を排除し、まじめに法令を守ってきた企業が報われる制度にしていかねばならない。

提言の内容は以上のとおりであるが、この提言が出たからといって、直ちに変化し、急激な改革ができるものではないと思う。この千載一遇のチャンスを逃せば大きな悔いを残すと考える。それには、行政と建設業界が一体となって取り組んでいかねばならない。ただ実行あるのみである。

他方、今般の東日本大震災に際して、地域建設業が果たした役割は大きく評価され、また実証されたところである。

近い将来、「首都直下・東海・東南海・南海」地震という太平洋側の断層を震源とする巨大地震が、この30年以内に生じる確率が50~87%もあり、専門家によると、その被害額は200兆円にも及ぶと想定されている。

現内閣での建設産業施策においては「コンクリートから人へ」という馬鹿げた愚策によって、公共事業そのものを否定するような政策が世論を沸かし、予算削減が図られてきたが、このマニフェストもこの大震災を契機に大きく見直さざるを得ない状況になった。

今後の公共事業は、大震災の復旧・復興に向けて一時的に増加傾向になると予測されるが、現状の国や地方財政を見ると厳しい状況が続くと見込まれ、長期的には公共事業の減少がさらに進むと考えられるので、この状況を何としても阻止しなければならない。

現在の被災地を1日も早く復旧・復興することが最優先であることはいうまでもないが、被災地以外の地域に疲弊が広がり、日本経済がさらに混迷するようなことになっては何にもならない。将来起こりうる災害にも備え、減災対策を最優先の課題として、長期的な公共事業の必要性を強く訴えていかねばならない。

前述したとおり、「建設産業戦略会議」の提言、「大震災への対策」を真正面から捉え、会員一丸となって真剣に取り組むことが何より必要である。