思い切った公共投資で日本再生

長尚元信州大教授の講演要旨

「多くの国民は“日本の成長の時代は終わった”と思い込んでいる。確かに平成7年以降、日本の名目GDPは、ほぼ500兆円で成長が止まっており、日本だけが一人負けしている」

「国債は国民にはツケではない。政府にはツケであっても、国民には資産である。国が存続している限り、政府は国民に返し続けることができるので、国債を個人のツケの感覚で論じてはならない」

「『借金が大変』なのではなく、日本の成長が止まり、デフレが長引き、失業率が高止まりし、給料が下がり、将来不安が増大し、結婚することも難しく、結婚しても子どもをつくらず、少子化が極端に進み、欧米に比べ自殺率が突出しているといったことなどが大問題なのである」

「日本の国債はほとんど国内で消化されている(93%前後)。外国依存度が80%近いギリシャの場合と根本的に異なる。日本国民の金融資産は1400兆円あるが、デフレのため、それを活用する企業がほとんどない。このため銀行は企業に融資できず、国債を買うことで銀行は助かっている。日本は裕福であり、この強さを活用せず、縮み思考になって、成長をあきらめる愚に陥ってはならない」

「不況時に積極財政施策を実行することは、世界の常識になっているが、日本だけが間違った政策をとり続けている。正しい成長戦略とは、思い切った財政出動をすることだ。財源はどこにあるのかといわれるが、一つは国債の発行、もう一つは貨幣発行特権の発動(現在、政府はお金を刷ろうとしないが、通貨発行と同じ意味を持つ)である。貨幣発行特権の発動は、国債発行と違い、政府のツケとはならない」

「過度のインフレの発生や円の信用度低下の不安もないため、政府がお金を刷って財源にできる。これまで日本には通貨発行益が財源になり得ると思っていた人はほとんどいなかった」

「貨幣発行特権の発動策は、国がお金を立て替えて、別の表現をすると、将来の経済成長を先取りし、呼び水としてお金を用意して、経済を活性化させる。この手段は日本が金持ちであるという世界からの信用が大前提になっている。国債には利払いが必要という欠点があるので、貨幣発行特権の発動策の方がベターだと思っている」

「毎年40兆円の景気対策を行えば、5年で名目GDPは約25%増加し、年平均4~5%の成長率が得られる。必要額は5年で総額200兆円になり、税収増が見込めるので実質的には150兆円程度の投入になる。その後も年平均4~5%の成長が続けば、財政の健全化が進み、増税が不要となる」

「財政出動の対象は、なるべく乗数効果の大きい公共事業等にすべきである」