委員長の年頭所感・報告 向上心を高め、それに報いる技術者制度へ

建設業振興対策委員長小野徹

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22年の5月に行われた政府の行政刷新会議の事業仕分けで、「監理技術者資格者証」や「それに伴う講習」が不要ではないかとの指摘がされた。

その理由は、「基になっている一級の資格を確認すればすむのではないか。屋上屋を架す資格なので、無駄だ。5年に1回の講習も不要だ」と現場での不正防止のための優れた制度を、頭から覆すような暴論で、「廃止」の判定がされてしまった。

それなら、大きく「技術と経営に優れた企業の発展に資する技術者制のあり方」とはどんなものなのか、各建設業団体はどのように考えるのかと、11月に国交省からのヒアリングと、その後、アンケート調査依頼があった。

たまたま、当委員会では、21年10月に「社員のモチベーション(動機づけ、意欲)を高めるための資格制度の活用」をテーマに研修会を開いていたので、意味合いはやや違うが、宮本土木委員長、豊田広報委員長とともに、それを基にした意見書を提出した。

というのは、委員会は、「汚職・談合等で建設業のイメージはがた落ちだ。社会保障費の自然増による膨大な歳出増に見合うスケープゴートとして、公共工事予算が半減された。それによってダンピングは横行し、入職者もなければ、現に働いている社員のモチベーションも上がらない。そうした中で、いかに社員の向上心を高めていくか」が、経営者にとって切実な課題となってきていると判断したからである。
特に、中小業者には「人材」がすべてで、たとえ明日をも知れぬ苦しい状況下ではあっても、業法で必要とされる資格は勿論、それ以外の大臣認定資格や各種の民間資格の取得に対して、報奨金等まで用意して、社員を叱咤激励しながら、個々人の技術力・資質の向上を目指している例が多い。しかし、現状では、それに見合う資格の活用はなされていない。

そこで、土木・建築という、かつては「シビル・エンジニアリング(市民工学)」と呼ばれたほどの幅広い分野に対応する技術的向上心を刺激するとともに、例えば中小業者ゆえに、経験不足!で、入札にエントリーできない工事に対し、業法以外の各種の資格取得を生かした「緩和措置」を取り入れるなどの施策も考えられないだろうか。

政府の「新成長戦略」に見られるように、まだまだ公共事業バッシングが止まらない中で、「技術と経営に優れた企業」の大本である社員のモチベーション・技術的向上心を高めるための技術者制度について、建設業振興対策委員会が中心になって、会員の意見をまとめ、発信していきたい。