各地域からの現状レポート1 宮崎県建設業界の現状

宮崎県建築協会

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9月2日、宮崎市の中心を流れる大淀川河川敷で、建設業関連団体は、3千5百人を集め「危機突破決起大会」を開き、その後、県庁まで行進し、「公共工事削減と県の性急な入札制度改革で業界は崩壊の危機だ」として入札制度改革の一部見直しを求めた。

本県の入札契約制度改革は、13年度の「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」施行に伴い、発注見通しの公表、入札・契約に係る情報の公開、予定価格の事前公表の試行などの義務付けに始まり、15年度には、予定価格の事前公表の本格実施、条件付一般競争入札導入などが進められた。 

こうした中、18年の官製談合事件で、安藤知事が逮捕されたことに伴う宮崎県知事選に立候補して当選した東国原英知事は、選挙戦で入札改革、特に談合廃止を訴えたことから、就任後、ただちに、入札契約制度改革を進めた。3月には、公共工事に対する信頼確保と建設業の健全な発展を図るため、「入札・契約制度改革に関する実施方針」を定めた。

その主な内容は、指名競争入札の廃止と一般競争入札の拡大であり、(ア)250万円以上の工事は、一般競争入札に原則移行され、20年1月からは、条件付一般競争入札が完全実施された。(イ)委託業務は、19年4月から、予定価格の事前公表と入札参加者の事後公表が始まり、「測量・補償」業務委託は19年10月より条件付一般競争入札の完全実施、「地質調査・建設コンサル・建築設計」業務は、20年8月より条件付一般競争入札の試行が開始された。総合評価方式については、品質確保及び技術と経営に優れた建設業者の育成を目的に平成18年度より試行が開始されたが、その対象を、19年度は4千万円以上の工事、20年度からは2千万円以上の工事、さらに、20年7月から、電気・管・ほ装は、1千2百万円以上の工事に拡大。電子入札は、談合等の不正行為の防止と負担軽減から、19年7月、全ての工事が対象となり、20年4月からは、紙による入札を廃止し完全実施となった。
 一般競争入札と電子入札の導入により、談合は難しくなる一方、予定価格の事前公表により、最低制限価格に限りなく近い低価格での競争入札となり、県発注工事の落札率は80%前半まで下がった。請負業者の倒産、入札不調による公共工事の遅れが生じたこともあり、予定価格の70~80%程度としていた最低制限価格を、業界意見も踏まえ、19年10月に80~85%まで引き上げた。また、建設関連業務委託についても、最低制限価格が設定され、低価格による落札が幾分緩和された。

本県の入札制度改革は、官製談合事件に端を発したため、性急に進められ、競争の激化や低価格での落札を招き、これに公共工事の減少、建築基準法改正の影響、原油や鋼材などの資材価格高騰などが加わり、建設業界は、倒産や廃業する業者が相次ぎ、宮崎県経済にも大きな影響が出ている。県内業者の倒産件数は、18年(1月~11月)は52件と倍増し、倒産に伴う失業者数も、5678人が7251人と急増している。

建設業界の窮状や依然として公共工事に頼らざるを得ない業界の現状を踏まえ、県議会は、「最低制限価格を予定価格の90%以上に引き上げ」「予定価格の事後公表」などを強く要望、また、建設関連業界は、加えて、「総合評価方式の基準等の見直し」「一定金額以下の工事は、指名競争入札の復活」「地元企業が受注しやすい環境づくり」などを切実に訴えている。

(1)最低制限価格の引き上げは、全国の状況、適正な予算執行や予算の節約の面から、指名競争入札の復活も併せ、困難との見解を示す一方で、現在の最低制限価格を維持し、現在試行中である総合評価落札方式により落札率を高めたいとしているが、今年度の総合評価落札方式による入札結果では、最低制限価格者以外が落札する逆転現象が見られるものの、低価格の入札で無ければ受注が難しい結果となっている。総合評価落札方式は、落札率を高め、優良業者の育成につながる期待が大きく、業界の実情や意見も踏まえ、調和の取れた入札方式としていくことが求められる。

(2)予定価格の事後公表は、予定価格の聞き出しやコンプライアンス対策などの課題を上げ難色を示していたが、知事は事後公表を20度末まで試行し、来年度以降に試行を踏まえた方針を決めることを9月議会で表明した。試行の対象を、土木工事は、予定価格の2千万円以上、建築工事は同4千万円以上、ほ装、管、電気工事は同1千2百万円以上、その他の工事は同2千万円以上、委託業務は最低制限価格が類推しやすいことから全ての委託業務とした。

(3)「総合評価方式の評価基準、内容等の見直し」「指名競争入札の復活」「地元企業の受注しやすい環境づくり」については、今後関連業界と意見調整を行い、検討が進められるものと考える。

20年8月の県内企業の倒産件数は13件、その内8件が建設業であり、依然として、淘汰が進んでいる。建設業者は、農業や新エネルギー・バイオ分野など新しい業種への転換や進出が求められており、県では、新分野進出に対する助成や指導を行っている。入札制度改革により淘汰された結果のやむを得ない職業転換ではなく、業界を支援・育成できる入札制度によって職業転換が促進され、ひいては産業構造の転換につながる改革が求められる。